明確な心掛け

眼前にはハットを被った男。その顔貌は判然としない。
黄白色を基調とした洒落た四辺形の中、男は沈黙したまま此方を向いている。

私は今猛烈に困っている。

男は、私が何らかの言葉を紡ぐのを待っているらしいが、実は私は男が満足するその言葉を既に知っている。
知っているというのに、その言葉を何度書き渡そうと眼前の朴念仁は微動だにしないのだ！
どうしたことだろうか、しかしこれ以上の言葉は到底思い付きそうもない。

うーむ、一体私は何を心掛ければよいのだろうか？